サイディングのメンテナンス方法:時期と費用も解説!

現在、新しく建てる家の7割はサイディングボードを使った家ですが、サイディングボードは材質によってメンテナンス方法が異なることを知っていますか?

一番怖くてしかもやってしまいがちなのが、高圧洗浄機で外壁を掃除なんてしてしまうと、外壁自体が痛んでしまうなど、材質により方法を知っておかないと大変なことになります!

こちらでは、サイディングのメンテナンス方法についてみていくとともに、その時期や費用もあわせて解説します。

サイディングメンテナンスは2項目

コーキングとサイディングボード

サイディングのメンテナンスはサイディングボード自体とコーキング部分のメンテナンスに分かれます。

簡単にいえば、外壁自体とつなぎ目部分(目地ともいう:以後コーキング)のメンテナンスをしっかりしていくことで、サイディング外壁が維持できるのです。

なお、外壁材で樹脂系のサイディングボードにはコーキングを使わないものがありますので、そういった場合は外壁自体だけとなりますので、メンテナンス項目が減ります。

ただ、樹脂系のサイディングボードが日本ではほとんど普及していないので、樹脂系の話は外壁材別の部分で話していきます。

これから見ていく内容については次のような順番になっています。

  • 外壁材に共通するメンテナンス方法の注意点
  • コーキングの劣化箇所確認
  • サイディングボードの劣化箇所確認
  • 各外壁材の代表的な劣化とメンテナンス方法
  • 各外壁材のメンテナンス時期・費用
  • サイディングメンテナンス方法のまとめ

それではさっそくメンテナンス方法の注意点を見ます。

メンテナンス方法の注意点

高圧洗浄機5jpg

サイディングボードをメンテナンスするのは最初にいったように、高圧洗浄機などを使って掃除をすることはやめてください。

テレビCMなどで掃除しているシーンを見ることができますが、実際にあのようなことをしてしまうと塗膜をはがしてしまうばかりか、外壁材とコーキングに傷がついてしまって、外壁の補修が必要になるケースがあります。

柔らかいブラシ1

使うならやわらかいブラシでやさしく洗浄

高圧洗浄機でなくても、硬いブラシなどを使う、また薬品などを使うなど、外壁材へのダメージが大きくなる点も、注意が必要なポイントです。

硬いブラシ1

鉄製のブラシなどは絶対に使ってはいけない

2階部分を掃除するとなれば大変でも、1階部分なら出来そうな気がしますが、外壁の掃除については注意しなければいけないことが多いのです。

メンテナンス方法についてまとめると、外壁自体を傷めるようなことをしてはいけないということで、掃除をするとしても柔らかいブラシかモップで汚れを落とす程度で問題ありません。

外壁洗浄剤

外壁の塗料・材質によってはこういった洗剤も要注意!

それ以上のことは業者に依頼して行う必要があるので、サイディングのDIYメンテナンスについては、簡単な掃除と劣化箇所の早期発見にとどめておくようにしてください。

ちなみにあると便利な道具については、長靴とホース、そして水作業ができる手袋です。

長靴1

ゴム手袋でも良いのですが、できれば作業用の防水手袋のほうが作業がはかどりますのでお勧めです。

安いゴム手袋

ゴム手袋は作業性が悪い

作業用手袋

作業用防水手袋だと密着するので作業が楽!

なお、ホースは1000円ぐらいから買えますが、家の外壁掃除については長く使うものなので3000円ぐらいのもののほうがおすすめです。

ホース2

3000円台の巻取りホース:材質が硬くて使いやすい

コーキングの劣化

劣化したコーキング3

サイディングボードは樹脂系の一部を除けばコーキングによって、サイディングボードの間が覆われています。

このコーキング部分の劣化をいち早く確認することが、DIYで出来るサイディングメンテナンスと言えます。

劣化しているコーキングのDIYメンテナンスとして、コーキングの増し打ち程度ならばできそうな気がしますが、実際にはあまりお勧めはしていません。

というのも、コーキングの増し打ちは適用できる条件が難しかったり、素人がやるとただシーリング材を盛るだけで、何も解決しない場合があるからです。

コーキング下手な作業1

下手なコーキングは外観を損ねるだけでは済まない

どうしても費用を浮かせたい場合には仕方ないとしても、コーキングの劣化は家の寿命に影響を及ばすために、業者にメンテナンスを依頼するほうが望ましいと言えます。

コーキング部分のメンテナンスについては、コーキングの劣化状況を確認することにとどめておくことがおすすめです。

サイディングボードの劣化

反りが発生したサイディング

サイディングボードの劣化については2種類あり、外壁塗装の塗膜切れとサイディングボード自体の寿命・破損です。

外壁塗装の塗膜が切れることによって主に雨の影響が大きくなり、窯業系サイディングならば「水の浸透による割れや破損」、金属系サイディングならば「赤さび・白さび」、木質系サイディングならば「腐食」に影響し、つまりはサイディングボード自体の寿命を短くする原因になります。

つまり、サイディングボードの劣化を見るときには塗膜が切れていないか、または寿命や破損があるかどうかを確認するのが大切ということになります。

さて、ここまではサイディングのメンテナンスに共通する項目をみていきましたが、次は外壁材別に劣化状況とメンテナンス時期や費用、メンテナンスの注意点を見ます。

窯業系サイディングのメンテナンス方法

サイディング割れ

窯業系サイディングのメンテナンスで重要なのは割れや反りがないかどうかです。

これがある場合にはサイディングボード自体の寿命であることが多く、またメンテナンスを怠ったことでこのような状況を起こしている可能性があります。

こうなってしまった場合には、外壁塗装をするだけでは補修できず、サイディングボードの張り替えや重ね張りをしなければいけない状況にもなりかねません。

窯業系サイディングのメンテナンス時期

コーキング塗膜切れで割れ

窯業系サイディングのメンテナンス時期は7年から10年ですが、コーキング部が露出していることもあって、紫外線の影響で5年でメンテナンスしなければいけないこともあります。

良く言えばコーキング部分が見えているので劣化状況が分かりやすい、悪く言えば露出しているのでメンテナンスが早くなると言えます。

窯業系サイディングボードの劣化は塗膜切れやコーキング部分劣化により、サイディングボードに水分が浸透して、浮きや反りの原因となる凍害が最も厄介です。

外壁自体の寿命が30年から40年ほど、塗料の寿命は種類によって異なりますが、一番主流であるシリコン系塗料であれば10年前後でのメンテナンス時期となります。

つまり、窯業系サイディングのメンテナンス時期についてはコーキングの劣化次第と言えます。

窯業系サイディングのメンテナンス費用

窯業系サイディングのメンテナンス費用は外壁の広さと塗料の選択によりますが、1回の外壁塗装で60万円から200万円です。

サイディングボード自体の耐用年数を30年から40年とすれば、その期間内の外壁塗装が3回、コーキングの寿命を5年とすれば6回ですので、400万円から500万円ほどのメンテナンス費用になります。

また、サイディングボードの寿命が来た場合には、張り替えや重ね張りをしなければならず、どちらも200万円前後しますが、重ね張りのほうが若干安く済みます。

コーキング部分を劣化させた状態にしないことが大切

劣化したコーキング1

窯業系サイディングボードの保守については、何度も言っているようにコーキング部分の劣化がカギを握ります。

他のサイディングボードよりもコーキング部分が見えやすいこともあって、この部分から水が入ってしまうとサイディングボード自体の寿命を低下させるだけでなく、湿気の吸着により伸縮が起きて破損につながるからです。

そのため、窯業系サイディングボードのメンテナンスはコーキングに注目して掃除と劣化状況の確認をしてくださいね。

金属系サイディングのメンテナンス方法

金属系サイディングボード5

金属系サイディングのメンテナンスは塗膜切れやコーキング劣化によってさびないようにすることが大切ですが、さびの発生につながる傷をつけないように注意しなければいけません。

また環境によって左右されることが多く、化学変化が起こりやすい地形である海岸近辺による塩害、工場地帯や幹線道路沿いによる酸寄りな外気などです。

また塗膜がある場合には水分による被害は小さいものの、物理的な損傷で簡単に傷んでしまう点も注意が必要です。

金属系サイディングボード4

その傷から内部深くのさびを進行させることで、金属系サイディングボードの寿命を早くしてしまうわけです。

つまり、メンテナンスについては塗膜切れと傷がついてないか確認することで、もちろん自分で掃除するようなときも傷をつけないように注意しなければいけません。

金属系サイディングのメンテナンス時期

金属系サイディングのメンテナンス時期は、コーキング部分が露出していない場合が多く、紫外線による劣化はそれほど心配はありません。

金属系サイディングは傷がなく塗膜が切れない場合には、なかなか高耐久なサイディングボードです。

金属系サイディングのメンテナンス時期は10年から15年ですが、傷の有り無しで当然早くにメンテナンスが必要になりますので、その点は注意してみてください。

金属系サイディングのメンテナンス費用

金属系サイディングのメンテナンス費用は、外壁の広さと塗料の選択によって異なりますが、60万円から200万円です。

コーキングが露出していない分だけ、高耐久の塗料を使う場合もありますが、災害によってサイディングボード広範囲に傷がついた場合には、補修のメンテナンスが必要になりますので、その可能性も考えると塗料の選択はシリコン系塗料(耐用年数10年から15年)がおすすめですが、ウレタン系塗料と相性が良いこともあって、その場合にはメンテナンスサイクルが早くなるので費用が多くなります。

金属系サイディングボードの寿命が30年から40年とすれば、この期間のメンテナンス費用としては、外壁塗装は2回か3回、コーキングも10年周期ぐらいなので3回か4回ほどで、400万円から500万円です。

また白さびは古くなってきた場合に多少は仕方ないですが、傷がついたところから発生した赤さびには注意が必要で、最悪の場合には外壁の張り替えや重ね張りが必要になります。

外壁の張り替えや重ね張りの場合には200万円前後のメンテナンス費用がかかりますが、重ね張りのほうが若干安いことに加えて、金属系サイディングボードは外壁材の重さが軽いこともあって、重ね張りで済む場合が多いのはうれしい点かもしれません。

とにかく傷をつけないように注意する

さびた金属系サイディングボード1

金属系サイディングのメンテナンスについては、さびに注意!というのが最も注意しなければいけない点ですが、その原因となる塗膜切れと傷には注意してください。

サイディングボードと簡単な掃除をするときも、他のサイディングボード以上にブラシなどには注意が必要です。

というよりも細かいレベルでさえも傷がつくことを考えれば、柔らかいモップを使って簡単に拭くぐらいのほうが良いのかもしれません。

実際に金属系サイディングボードは汚れが付きにくいのもありますから、掃除自体は簡単に済ませるようにしましょう。

木質系サイディングのメンテナンス方法

木質系サイディング5

木質系サイディングのメンテナンス方法は、塗膜切れやコーキングの劣化を注意しなければいけないことに加えて、メンテナンスの頻度が大切になります。

というのも、木質系サイディングボードは木ですから、水分の吸収で腐食が起こってしまいます。

つまり、他のサイディングボードよりも寿命にダメージが及びやすいものであるということを知っておく必要があるのです。

木質系サイディングのメンテナンス時期

木質系サイディングのメンテナンス時期は、5年から10年で見てください。

コーキング部分の劣化に加えて、塗膜切れがサイディングボードの寿命に与える影響は大きいというのは話した通りです。

変な言い方にはなりますが、そもそも他のサイディングボードを使ったほうが費用もメンテナンス頻度も耐久性もよいのに、木質系サイディングボードをわざわざ使うのはある意味でメンテナンスを覚悟していると考えてもよく、そのメンテナンス頻度でさえもある程度受け入れるような考え方が必要です。

木質系サイディングのメンテナンス費用

木質系サイディングのメンテナンス費用は、5年から7年に一度で外壁塗装で60万円から200万円です。

ただし、個別のメンテナンス費用についてはメンテナンスサイクルが短いということもあって、塗料の価格で安くなる可能性があります。

木質系サイディングボードの寿命が30年だとすればその期間中のメンテナンス費用は、外壁塗装が6年に一度するとして5回、コーキングについては5年に一度するとして6回で500万円ほどです。

また木質系サイディングボードが腐ってしまった場合には、当然重ね張りをしても解決しないために、張り替えを行うわけですが、その際には200万円前後のメンテナンス費用が掛かります。

他のサイディングボードのように重ね張りという方法がとりにくいのも木質系サイディングの特徴です。

定期的なメンテナンスに注意する

木質系サイディングボードについては、木であることを考えると腐ることに注意が必要です。

ただし、考え方によれば木質系サイディングボードの一枚はほかのサイディングボードよりも小さいこともあって、腐ってしまった部分だけ取り替えやすいとも言えます。

サイディングボード自体は寿命が数十年と長いこともあって、過去に売られていたものが現在も売られているか、という点が問題になることもありますが、基本的には腐らせないようにメンテナンスの頻度には注意したいところです。

樹脂系サイディングは変色

樹脂系サイディング8

樹脂系サイディングは高耐久の外壁材ですが、紫外線による変色だけは注意する必要があります。

とはいえ、変色したから家の機能に問題があるかといえば特にないのも特徴で、そういった意味ではほかの外壁材と性格が異なります。

またコーキング部分がないこともあって、化学的・物理的に問題がないならば多少強く洗ったとしても、他の外壁材よりはダメージが少ないです。

その場合も、塗膜が落ちるような洗い方をするのはしないようにしてください。

樹脂系サイディングのメンテナンス時期

樹脂系サイディングのメンテナンス時期については、コーキングがない外壁材なら塗膜が切れるまで、特に何もすることはありません。

コーキングがある樹脂系サイディングならば、コーキング部分のメンテナンスをするので、5年から10年といったところでしょうか。

とはいえ、わざわざ樹脂系サイディングを選ぶのですから、コーキングがない外壁材を選ぶはずですから、耐用年数が長い塗料を使った場合に、20年メンテナンスしなくてもよいなんていう場合もあります。

樹脂系サイディングのメンテナンス費用

樹脂系サイディングのメンテナンス費用は、コーキング部分がない場合には1回の外壁塗装で60万円から200万円です。

ただし、樹脂系サイディングボードは高耐久であることにより、塗装される塗料も耐用年数が長いフッ素などが利用される場合も多く、一時のコストとしては高額でもトータルコストとしてはほかの外壁材よりも安いです。

樹脂系サイディングボードの寿命が50年近く持つことを考えるとその期間内でのメンテナンス費用は、外壁塗装が2回から3回で300万円から400万円です。

他の外壁材が張り替えなど30年で行うことを考えると、総メンテナンス費用の点で2倍近く有利です。

サイディングボードでメンテナンスフリーは無い

樹脂系サイディングボードはメンテナンスフリーなのかといえば、そんなことはないというのはここまで見た通りです。

結局は外壁塗装を必要としますから、これではメンテナンスフリーではありませんよね。

ただし、他の外壁材から比べるとトータルコストに2倍近い開きがあること、メンテナンス頻度も最大で4倍近く違うことを考えると、メンテナンスフリーに近いと考えてもよいのかもしれません。

樹脂系サイディングボードの劣化は変色ぐらいですから、家機能に重大な影響を与えるわけでもありませんからね。

とはいえ、サイディングボードでメンテナンスフリーのものがあるかといえば無い、というのが答えになります。

サイディングのメンテナンスを怠ると補修費用が高額になる

ここまで見てきたように、サイディングのメンテナンスを怠ることで、サイディングボードや家の基礎部分にダメージが及び、その補修費用が高額になります。

昔は家の利用する期間として、20年から30年と考えられていましたが、現在は塗料の進化や経済状況の変化、また外壁材の進歩によって、もっと長く家を保持していく必要があります。

そのこともあって、サイディングのメンテナンスをしっかりすることが、家を長く快適・きれいに利用するためには必要なのです。

特に外壁材によるメンテナンス頻度と劣化状況については、定期的に確認するようにして、取り返しがつかないような損傷、つまりは外壁材の寿命に悪影響を与える変化を見逃さないようにしてください。

当然ですが、基本的に外壁材を掃除するときには、高圧洗浄機を使ったり強く洗ったり不適切な洗剤を利用しないようにしてください。

高圧洗浄機5jpg

大切なことなので何度もこれを言っておきますからね!

以上、「サイディングのメンテナンス方法:時期と費用も解説!」でした。

お役立ていただければ幸いです。