外壁の目地とは、サイディングボードなどの間を埋める部分で、一般のコーキング(埋める樹脂をシーリング材という)と呼ばれる部分です。
外壁の目地が劣化してしまうと、その部分から雨水の侵入などを許してしまい、外壁全体の寿命が短くなるばかりか、家の寿命も短くしてしまう可能性があります。
特に外壁の目地は、それ以外の外壁部分よりも劣化が早いこともあって、外壁の補修といえば目地の補修といってもよいぐらいかもしれません。
こちらでは、外壁の目地について、補修費用とその方法、劣化状況をみていきます。
外壁の目地補修費用
外壁の目地については補修する場合、目地部分を古いものをとって新しいシーリング材を充填する「打ち替え」と、古い目地部分の上から新しいシーリング材を乗せる「増し打ち」があります。
この説明からわかるように打ち替えのほうが増し打ちよりも、補修費用は高くなりますが、補修費用の目安を表にまとめました。
目地補修費用 | コメント | |
打ち替え | 20万円から40万円 | 一般的な目地補修 |
増し打ち | 10万円から20万円 | 補修できる部分が限られる |
DIY | 10万円以下 | 補修費用は安く済むが非推奨 |
DIYは目地補修の方法というわけではありませんが、比較できるように表に載せまして、さらに非推奨です。
というのも、この後に見る工程を考えると素人の人が気軽にするものではないからです。
しかも作業の質も問われ、一部でも質の低い補修になれば、全体に影響するために、一見するとシーリング材を打ち込むだけのものと思われるのですが、実際は相当に奥が深く、技術が必要な補修です。
目地補修の方法と工程
目地の補修方法については、次の工程で行われます。
- 古い目地を除去する
- 養生をする
- 奥部分にボンドブレイカーを入れる
- プライマーを塗る
- シーリング材を充填する
- へらでシーリング材をならす
- 養生を除去する
- シーリング材が乾いたら塗装などをする
- 塗装が乾く
多くの場合には足場が必要になりますので、この作業前後に足場設置もあります。
というのも、ただ1部だけの目地を補修するならまだしも、家の4面などを補修する場合には、はしごなどをかけても、結局作業効率が悪くなるばかりか、目地の補修にはすべきことが多いので、はしごだけでは事が足りないのです。
こういったこともあって、足場が必要になるのですが、これをみてわかるように素人が気軽にできるような作業量で無いことも分かりますね。
なぜDIYで行うと良くないのか

このDIY補修でもまだよくできているほうです
DIYで目地補修をしないほうが良い理由については、作業自体が危険であることと、先ほど話したように質と量を問われるからです。
作業自体が危険というのは、1階建ての建物であればよいのですが、現在の多くの家屋は2階建て以上である場合が多く、そのような場合には目地は縦にあるものですので、2階から1階部分の補修をずっと繰り返すことになります。
この時に当然高所での作業をするのですが、DIYで足場をしっかりと組む方はほとんどいないので、はしごで作業をすることになります。
当然ですが、高所から落ちてケガをするというのはよく聞くことで分かるように、はしごでの作業をしていた場合には珍しいことではありません。
ちなみに職人であってもはしごでの作業をしない理由としては、作業量が多いこともありますが、実際に目地補修ははしごで行うには危険すぎますし、効率も悪いことが原因です。
1回シーリング材を塗って終わりなら良いのですけれどもね。
また2階部分の一部の補修が悪いと結局その部分から水の侵入を許してしまうなど、他の部分が完璧であっても補修があまり意味のないものになってしまいます。
このことから、DIYで目地補修をするというのはあまり望ましくなく、工務店にいた方やどうしてもやりたいという方以外はしないほうが良いでしょう。
「外壁で目地なし」のサイディングもあるのか
サイディングの外壁であればほとんど目地が存在するのですが、樹脂系のサイディングボードでは目地がないものもあります。
そうなるとメンテナンスもほとんど必要なく補修費用などの面でメリットがあるのですが、樹脂系サイディングボードは日本で施工できる業者が少なく、また外観があまり良くないことも原因であまり見る外壁ではありません。
どうしてもメンテナンス費用を節約したいという場合や、外観など気にしないという場合には選ばれるかもしれませんが、一般に選ばれていないことを考えると、サイディングボードの外壁では目地が存在する場合がほとんどと考えておいてください。
なお、金属系サイディングボードは窯業系サイディングボードほど目地がはっきり見えませんが、隙間を横から除くとしっかりと目地がありますので、見える位置にないけれども目地は存在しています。
目地のひび割れなど劣化状況
ここまで目地の補修費用や方法などみてきましたが、その劣化状況を確認することで補修が必要か判断してください。
主な劣化状況としてはひび割れで、中央部分が硬化してひび割れるとこれはほとんどの場合、目地の寿命であると言えます。
またプライマーという接着しやすくするものをうまく利用できなかった場合には、下の画像のように横部分がはがれてしまいますが、こうなると補修を早急に行う必要があるでしょう。
あわせてシーリング材が不足していたり、奥部分を接着してしまう「3面接着」などをしてしまうと、劣化したときに目地の機能が失われる状況になります。
なお、目地の変色についてはすぐに問題が生じるわけではありませんが、美観上望ましくない場合が多く、こちらも補修まではいかなくても対策を必要としますね。
外壁の目地が劣化していたら早めに補修を!
外壁はまず目地部分が劣化しますのでこれを適切に補修する必要があります。
なぜ目地部分をしっかりとメンテナンスしなければいけないかといえば、水分に弱いサイディングボードなどでは、間から水の侵入を許してしまうと、サイディングボードの寿命を縮めることになり、さらに高額な補修費用を必要とするからです。
また家の構造部分にも劣化が進んでしまうと、サイディングボードの補修費用以上に修理費用が高く付きますので、目地部分の劣化については定期的に確認していく必要があるのです。
一般には外壁塗装などと同時に行うことが多いわけですが、劣化が早い場合に外壁塗装を待たずに目地だけ補修するということも必要になります。
目地の耐用年数は5年から10年ですが、劣化が早い場合には3年から劣化することもあります。
また、最近では高耐久の目地が出てきていて10年以上の耐用年数を有するものもありますので、これを使うことで他の外壁部分とメンテナンスサイクルを合わせることができます。
メンテナンスサイクルを合わせることで足場代や人件費などを節約できるので、補修費用がお得になりますから、中長期的な補修計画を立てると賢く家を維持できますので、参考にしてきてください。
以上、「外壁の目地補修費用:ひび割れなど劣化を写真で確認」でした。
お役立ていただければ幸いです。